番犬は庭を守る

岩井俊二

文庫・新書

ドラマ

満足度:7/10
短文が積み重なって物語は進む。
岩井俊二の書き下ろしということで読んだ。

タイトルから想像する内容と物語はとてもかけ離れていた。

文体は個性的でセンテンスが短い。括弧なしの台詞とか何か意図はあるかもしれないがそこは察することはできなかった。それより何よりその世界観は超個性的。

人生を誇張した縮図。とりわけ救いようのない人生。そんな先祖を語る私。だから後悔の念といったことより、その中で起きる僅かなロマンスと多くの残忍な出来事がただ過ぎていく。
モノクロな背景で勝手にyen town 風な世界観をイメージしながら読み進めた。

各章のタイトルが大きい上にそこだけ見られたら恥ずかしい感じで、通勤時間の電車内で読んでたときはちょっとドキッとした。
だがしかしッ!その内容がそうだが、この作品はとにかく現実離れしながらもシュール。

追記>
311の原子力発電の問題で福島で生活していた子供が放射能をーという差別問題やアメリカではカフェで精子バンクではお金がかかるからとインターネットを使った個人同士でやり取りをして社会問題になっているといったニュースが耳に入ったとき、妙にこの物語とリンクしすぎるほどリンクしていてびっくりした。