強く生きる言葉

岡本太郎

文庫・新書

元気が出る

満足度:8/10
「芸術は爆発だ」

岡本太郎のこの一言は強烈だ。
でも一体「芸術は爆発」とはどういうことなのだろう?

この本は2003年にそれまでに発行された書から抜粋、再編集された言葉の集まり。
そのフレーズの節々を感じ読むと、「芸術は爆発だ」と表現した意味も知ることができる。

40歳をすぎた自分にとっては、およそ9割に共感し、その多くをすでに実行している。
それでもハッとさせられたお言葉があった。

「中年を過ぎると、人生に対する意気込みがにぶるものだ。その結果、生命が惜しくなってくる」

20代、30代にはなかった感情。ただただ納得。だがしかし彼はこう続ける。

「これは人間としての堕落だね」

痛烈。
決定的に自分に足りていないことを言い当てられ、胸に突き刺さる。

また、ぐっとくるお言葉もあった。

「この世には根性を貫いたがゆえに、敗れ去った人だっていっぱいいる。純粋であればあるほど、この世では敗れざるを得ない」

それを著名な彼が言ってくれるというだけで泣けてくる。

「まったく無名の人物でも、素晴らしい、己を貫いた尊敬に値する人物はいっぱい存在したはずだろう。そういう人間の運命の方に、ぼくは加担したいな」

自分自身であろうとするがゆえに社会との距離に虚無感で苛まれているぼくみたいな人間にとって、この言葉はどんなに救いになるか分からない。