1Q84

村上春樹

文庫・新書

ドラマ

不思議な感覚

満足度:8/10
発売当初は書店売り切れ、と話題満載だった村上春樹の「1Q84」。
当時は、いわゆる「流行」と化していた。
そんな流行とは一線を画して、村上春樹の新作書き下ろし、ということで、それだけで個人的には楽しみにしていた。

発売当初、とくだねで小倉さんが「1Q84」の話題で「あー、オウム真理教の話しね」と言った。
それで読む気を失い、読み始めた本を棚にしまった。
作品そのものを楽しみたいと思っている自分にとって、その作品が描こうとしている社会風刺を先行して知りたくないからであり、知ることによる先入観をもって読みたくないからだ。
アウトラインは自分で感じたい。
読んだあとで、「あれ?ひょっとしてオウム真理教を風刺してねぇ!?」って感じたかった。
ただ言えるのは、確かに宗教団体が登場するが、個人的には、読後そんな感想は一切感じることはなかった。だからそんな先入観はまずは消してもらって問題ない。
たとえ作者がそうと言っても、自分はそうは感じない。
それより読んだあと(読んでるあいだも)感じたのは、「ほんとにこれが万人受けするのか!?」ということ。
思わず、amazonでレビューを見た。
やっぱり。
想像したとおりのレビューの数々。
納得した。

さて、自分的感想。
全3冊。長かった。
「おもしろかった?」と聞かれたら答えに困る。
「ファニーじゃなくてインタリスティングって意味でおもしろかったかなぁ」と答えるかも。
繰り返される性描写は、なんでそこまで必要なのか考えた(何かしらへの警告!?海外受け狙い!?理性への挑発!?...よく分からなかった)。
ただ後半に行くにしたがって物語性が増していき、どんどん引き込まれていった。
読んだ後の村上春樹特有の不思議感は健在。
脳が揺れ動いた。